シリコンオイル

硝子体手術の際に、空気やガスではなく、

シリコンオイルというオイルを入れる必要がある症例があります。

今回はこのシリコンオイルについて述べてまいります。

 

シリコンオイルは、無色の液体です。

一般的には工業用機械の潤滑油に用いられたり、化粧品に含まれていたりします。

人体にはほぼ害はないとされており、古くから眼科の手術で使用されています。

このシリコンオイル、網膜剥離などがある際に、

網膜を押さえつけるための物質として使用されます。

ガスと同じようなイメージですね。

シリコンオイルとガスの違いですが、決定的な違いは、

ガスは時間とともに吸収されいずれなくなっていきますが、

シリコンオイルは吸収されず、いつまでも眼内にとどまることです。

ガスのように膨張しないため、押さえつける力はガスより弱いのですが、

長期間にわたって抑えることができるため、

最終的にはガスで治りにくい症例でも治せる可能性が高くなります。

しかし、長期間留置していると乳化してしまうことがあります。

小さいつぶつぶができるようになってくるのですが、

これが隅角につまってしまうと眼圧が上昇してしまうことがあります。

また、角膜に触れると角膜が混濁してくることもあります。

そういった副作用を考慮し、ある程度時間がたてば抜去する手術をおこなうことが

一般的となっています。

 

違いを表にしてみました。

 

ガス

シリコンオイル

膨張性

強い

なし

吸収

1~3週間で吸収

されない

抜去手術

不要

必要

うつ伏せ姿勢

長時間必要

短時間

副作用

眼圧上昇、白内障など

眼圧上昇、遠視化など

 

どちらを選択するかは手術の際に主治医が判断するかと思います。

術後は指示に従って、しっかり治すようにしてくださいね。