フルオレセイン

2023年夏、奈良県の竜田川という川が蛍光色に

なっているというニュースがありました。

のちの調査にて原因はフルオレセインという

無毒の薬剤によるものと判明しています。

生体に悪影響はない薬剤です。

フルオレセインは入浴剤などで色を付けるのに

用いられますが、

眼科でもなじみのある薬剤のひとつです。

 

 

その用途はおもにふた通り。

まずはドライアイの診断など、角膜の病気の精密検査に用いられるもの。

ドライアイはいくつかのタイプに分けられますが、その診断にフルオレセインが用いられます。

涙をフルオレセインで染色すると、乾きが強い部分の染まりが悪かったり、

傷ができてしまっているような場所では染色されやすくなったりします。

その時の状態に応じて、眼科医は点眼を調整していきます。

ドライアイ治療においては必須の薬剤です。

二つ目の用途は造影検査。

フルオレセインを体内に注射した状態で眼の写真を撮っていく(蛍光眼底造影検査といいます)

と、網膜の血の流れがどのようになっているかを調べることができます。

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症など、網膜の血流が落ちてしまう病気の状態を

詳しく調べるために用いられます。

 

染色する作用が非常に強い薬剤ですので、

ドライアイなどのために角膜を染色した後にティッシュやハンカチで涙をぬぐうと

黄色く染まってしまいます。

また、蛍光眼底検査では検査後から尿が蛍光色の黄色になります。

翌日くらいで改善しますが、初めての方はびっくりされる方もいらっしゃいます。

眼科でそういった薬剤を使用することがあると頭に入れておいていただければと思います。