加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)という病気をご存じでしょうか?

抗VEGF薬が使用できるようになってから、

しっかりと治療をおこなえるようになった病気のひとつです。

今回はそのおはなしです。

 

加齢黄斑変性症とは、名前のごとく、

『年齢の変化によって、ものを見る中心部分が変形してしまう病気』です。

中心が傷んでしまうため、視力低下やゆがみなどの症状が出てきます。

この変形した状態ですが、具体的に見ていくと、

まず脈絡膜新生血管(みゃくらくまくしんせいけっかん)が生えてくることから始まります。

この新生血管は網膜の外にある脈絡膜から網膜に向かって生えてきます。

そのため、新生血管の大きさによってゆがみの症状がでてきたりします。

この新生血管が悪化するようになると、

新生血管から水漏れを起こし網膜の中や下に水が溜まってしまうようになります。

この段階になると視力が低下しやすくなり、ゆがみの範囲も広くなってしまいます。

新生血管が大きくなり、破裂してしまうような状態になると出血を起こします。

この出血も網膜の中や下に回ってきますので、視力低下を起こします。

さらに進行してしまうと、その部分が萎縮してしまい、

黄斑部が全体的にダメージを受けてしまいます。こうなると中心が見えなくなってしまいます。

原因は『新生血管』ですので、抗VEGF薬が有効です。

しかし、抗VEGF薬を投与しても完全に新生血管をなくすことは難しく、

継続した治療が必要となることが多いです。

おもな治療目的としては、新生血管による悪化因子(むくみなど)を抑え、

状況がそれ以上悪化しないように維持していくこととなります。

抗VEGF薬は2~3か月程度で効果が切れてしまうことも多く、

維持するために定期的に注射をおこなう必要があることが多いです。

早期発見、早期治療が重要となります。

両眼で見ていると、ゆがみに関しては片方の目が不調でも気づきにくいことが多いです。

ときどき片目で格子状のものを見たりして、ゆがんでいないかチェックしてみましょう。