動脈硬化
『血管が詰まって起こる網膜の病気』で網膜動脈閉塞症と網膜静脈閉塞症について
お話ししました。それらを起こす背景には動脈硬化が潜んでいることが多いです。
今回はその『動脈硬化』についてみてまいります。
眼科では、眼底検査をおこなうことで直接血管の状態を評価でき、
動脈硬化の有無をチェックすることが可能です。
動脈硬化とは、さまざまな原因により血管が硬くなる状態ですが、
その指標となる所見がいくつかあります。
- 動脈の血柱反射の増強
動脈の中で光が反射するように見える現象を血柱反射といいます。
動脈硬化が進行すると、その反射が強くなってきます。
- 交叉現象
網膜では、静脈と動脈が交叉する部分がいくつかあります。
動脈硬化があると、硬くなった動脈が静脈を押しつぶすような感じになることがあり、
これを交叉現象といいます。
写真では色の薄い血管が動脈、濃い血管が静脈です。
この写真の部分では静脈の上に動脈が交叉しています。
動脈は内部に白い反射が返ってきていることがわかります。
また、交叉している部分の静脈はやや細くなっており、
硬い動脈に押しつぶされている様子がわかります。
動脈硬化のみでは見え方に異常はおこってきません。
押しつぶされた血管が完全に閉塞してしまうと、
静脈閉塞症などを起こし、見え方に異常がでるようになります。
動脈硬化が悪化しないよう、血圧やコレステロールといった内科的管理も心がけましょう。