白内障手術でよく相談されること

目の手術となると不安を感じられる方も多いと思います。

今回は、白内障手術をおこなう前によく相談される内容について、お話しいたします。

 

1.白内障手術したらどれくらい見えるようになるの?

 実際おこなってみないと分からない、というのが正直なところです。

 もともとの目の状態により術後の視力はさまざまで、

 白内障以外に目の病気がなければ明るくなり、

 コントラストが分かりやすくなることが多いです。

 ただ、視力がどれくらいになるのかは分かりません。

 眼科では手術後の度数(遠視、近視の程度)をある程度調節することは可能で、

 遠くを裸眼で見たい、近くを裸眼で見たい、といったご希望にはお応えすることはできます。

 ただ、視力を1.0にしてくれ、といったご希望には

『分かりません』とお答えするしかできません。

 

2.多焦点レンズってどう?

 多焦点レンズはいわゆる遠近両用のレンズ

 (最近のレンズは遠、中、近のレンズが主流です)です。

 眼鏡が必要なくなる可能性もあり非常に便利なレンズですが、いくつか注意点があります。

①保険適用がないこと

 多焦点レンズを用いた白内障手術は、

 白内障手術自体は保険適用ですが、レンズ代に関しては保険適用がありません。

 レンズ代は各施設により異なりますので、手術を受けられる病院でよくご相談ください。

②術後の眼鏡装用

 多焦点レンズを入れても、術後眼鏡が完全に必要ない方は約7割程度です。

 その他の方は眼鏡(老眼鏡など)が必要となるため、

 初めから全く必要なくなると思っておられると、思っていたことと違う、

 となりやすいため注意が必要です。

③慣れるまで時間がかかる

 一般的に現在よく使用されているレンズでは、

 手元が見やすくなるのには時間がかかることが多いとされています。

 また、もともと近視の方は今までと見え方が変わるため、

 慣れるまでは今までより見えにくく感じることがあります。

④グレア、ハロー

 多焦点レンズはその特性上、光がにじみやすい、

 輪っかが見えるといった症状が出やすくなっています。

 光がにじむのがグレア、輪っかがみえるのがハローといいます。

 とくに日中には問題となることは少ないのですが、

 夜間の運転の際などにはうっとおしく感じる方もおられます。

 そのため、夜間によく運転される方には多焦点レンズはあまりお勧めしません。

 多焦点レンズが適しているかどうか、

 手術を受けられる病院でしっかり相談するのがよいでしょう。

 

3.眼内レンズはいつまでもつの?

 最近使用されている眼内レンズは、

 少なくとも50年以上は劣化しないことが知られています。

 昔は時間経過とともにレンズ自体が濁ってしまうものもあり、

 その場合はレンズの入れ替え手術が必要でしたが、

 最近はその必要となる方はほぼいらっしゃいません。

 ただし、時間がたつとレンズの後ろに濁りが出てきます。

 これを後発白内障といいます。後発白内障になると、

 白内障のあったときのような見えにくさが出てくることがあります。

 その場合にはレーザーによる治療をおこなうことで、濁りを取り除くことができます。

 このレーザー治療は基本的に一度おこなえばあとは再度濁ってくることはありません。

 

4.術後眼鏡はいる?

 多焦点レンズを入れている方は約7割の方で不要となりますが、

 保険適用の単焦点レンズを使用している方は眼鏡が必要になります。

 術後の度数がどれくらいかによって必要な眼鏡は異なりますが、

 術後しばらくして眼の状態が安定してから作成するのが一般的です。

 

5.術後の仕事復帰はいつから?

 力仕事でなければ翌日からでも仕事は可能です。

 ただ、術後すぐは普段と見え方が違い、違和感が強いと思います。

 自分自身の見え方と相談し、無理しないようにしてください。

 力仕事や激しい運動の場合は1か月程度控えていただく方が良いと思います。

 埃っぽいところなどではゴーグルなどで対策をおこなうようにしましょう。

 あとは傷の治りなどをみていただき、主治医と相談してみてください。

 

6.運動はいつからできる?

 ウォーキングなど、激しい運動でなければ1週間後くらいから可能と思います。

 ただ、見え方の感覚は違っていると思いますので、転んだりしないよう注意が必要です。

 プールなどに関しては水を介して感染の危険があります。

 可能であれば1か月くらい控えたほうがよいでしょう。温泉やサウナなども同様です。

 

7.アルコールはいつからOK?

 とくに決まりはないのですが、

 アルコール摂取は炎症を悪化させやすいという報告があります。

 傷の治りなども遅くなる可能性がありますので、

 2週間程度は控えていただいた方がよいと思います。

 酔っぱらって目をぶつけたりはしないようにしてくださいね

 (以前白内障手術翌日に泥酔され、路上で転倒しているところを

 発見された患者さんがいらっしゃいました。

 残念ながらその方は目をぶつけておられたようで、最終的には失明してしまいました)。

 

8.眼帯はいつまでするの?

 一般的には手術直後はしっかりした眼帯を使用することが多いと思います。

 翌日にその眼帯をはずし、透明な眼帯やゴーグルなどに変更します。

 それらをいつまで継続するかは主治医の判断になると思いますが、

 夜間無意識に目をこすったりしないよう、1週間くらいは継続いただくことも多いです。

 

以上、よく聞かれる質問についてお話させていただきました。

まだまだ色々とあるかもしれません。主治医とよく相談し、

納得されたうえで手術を受けることをお勧めします。