網膜のレーザー治療
眼科ではさまざまな種類のレーザー治療がおこなわれます。
LASIKの際など、角膜に対して使用されるレーザー、緑内障治療のためのレーザー、
網膜の病気の治療のためのレーザーや、まぶたなどの手術で使用されるレーザーメスなどもあります。
今回は網膜で使用されるものについておはなしいたします。
網膜の病気で主に用いられるレーザーは2種類あります。
使用頻度が高いのはアルゴンレーザーで、これにも2つの使用目的があります。
まずは網膜裂孔(網膜の弱い部分)に対して、網膜剥離などに移行しないよう、おこなうものです。
近視などで網膜に弱い部分があるとき、そこから網膜がはがれるきっかけになったりしないよう、
弱い部分のまわりをレーザー治療していきます。
そうすることで、弱い部分のまわりを画鋲で止めるようにして網膜剥離への移行を防ぎます
(100%効果があるわけではないため、あとで網膜剥離に移行する方もいらっしゃいます)。
もう一つの目的は、血流が落ちた症例で、それに伴う悪い変化を予防することです。
血管が詰まったりして血流が落ちると、さまざまな変化が起こってきてしまいます
(『網膜の静脈が詰まってしまうと…』)。
そのような変化が起こらないよう、
血流の悪い部分をつぶしてしまうようにレーザーを当てていきます。
網膜の病気、特に加齢黄斑変性症ではPDTレーザーというものを使用することもあります。
最近では抗VEGF薬による治療が有効であるためおこなわれることは少なくなりましたが、
以前はよく使用されていたレーザーです。
病変部に集まる性質を持つ薬を点滴し、
点滴をおこなったままPDTレーザーを当てる治療です(『加齢黄斑変性症の治療』をご参考ください)。
最近では機械も進歩してきており、あらかじめレーザーを照射する部分を入力しておくと、
術中に患者さんが眼を動かしてしまっても自動で照射部位を合わせてくれるようなものもでています。
今後もより簡便に治療できるように進歩していくかもしれませんね。