網膜の血管が詰まった時の治療

前回、『網膜の血管が詰まってしまうと…』というおはなしをさせていただきました。

それでは、そういった変化が起こったときにどのような治療をすればよいのでしょうか?

 

どのような変化があるかによって治療方針は変わってきます。

治療方針においては『無灌流領域があるかどうか(虚血の変化があるかどうか)』が

基準となることが多いです。

実は、新生血管が生えてしまうことが見え方の今後を左右してきます。

新生血管は、無灌流領域があることで生えてくる血管ですので、

無灌流領域があるかどうかが治療の分かれ目となります。

まず、動脈硬化のみで無灌流領域がない場合には、基本的には経過観察をおこなっていきます。

経過観察中、無灌流領域が出てくるようになると、

無灌流領域がどれくらいあるかによって治療するかどうかを判断します。

無灌流領域があってもわずかである場合は経過観察をおこなう場合が多いですが、

広い範囲に無灌流領域があると、

新生血管が生えてくるリスクが高くなりますので治療を開始することが多いです。

無灌流領域があった場合、新生血管を生えにくいようにする治療として、

レーザー治療をおこないます。

特殊なレーザー光線を当てて無灌流領域を焼いてしまい、

新生血管を生えにくいようにしていきます。

すでに新生血管が生えてしまっている場合でもレーザー治療をおこない、

これ以上新生血管が生えてこないようにしていきます。

また、すでに生えてしまった新生血管もレーザー治療により枯れていく効果が期待できます。

新生血管から増殖膜に移行してしまった場合には手術が必要となる場合が多いです。

増殖膜は物理的に除去するしかなく、硝子体手術という手術で増殖膜を除去します。

また、増殖膜によって網膜剥離が起こってしまっている場合には、

増殖膜を除去し、同時に網膜剥離を治す治療をおこないます。

 

以上のように、網膜の静脈が詰まってしまった場合にはいくつかの治療のステップがあります。

現在のご自身の状況をしっかりと把握し、適切な治療を受けるようにしましょう。