網膜の静脈が詰まってしまうと…
網膜の静脈が動脈硬化などで詰まってしまうと、
具体的にはどういった変化につながるのでしょうか?
それらの変化についておはなしいたします。
1.まず血管が詰まってしまうと、その部分の血流が落ちてしまいます。
完全に血流がなくなる(虚血:きょけつ、といいます)と、
その部分は無灌流領域(むかんりゅうりょういき)といわれます。
造影検査などでその部分が確認できます。
2.無灌流領域ができると、眼としてはがんばって血流を流そうと、
新しい血管を作ろうとします。この時にできてくる血管を『新生血管』といいます。
3.通常、網膜の血流は小川のように網膜に沿って流れており、
網膜の酸素や栄養を保っています。
しかし、新生血管は木が生えてくるように、
上に向かって(硝子体側に向かって)伸びてくることが多いです。
そのため、せっかく生えてきた血管ではあるのですが
網膜に酸素や栄養を与えたりすることができません。
さらに、急遽作った血管なので通常の血管より非常にもろく、
すぐに切れて出血してしまいます。
このとき出血量が多いと、硝子体に拡散し、
全体的にぼやけて見えにくいような症状となります。
4.生えてきた新生血管は隣に生えてきた血管と手をつなぐようになります。
2本であれば線になるだけですが、3本以上が手をつなぐと面になります。
面になったものは網膜の上にもう一枚膜が張っているように見えるため、
膜と呼ばれるようになります。
本来の網膜にはなく、新たに細胞が増殖してできた膜ですので『増殖膜』と呼ばれます。
増殖膜は網膜とのくっつきが強いと、
網膜を引っ張り上げて網膜剥離を起こすこともあります。
このように、網膜の静脈が詰まることでさまざまな変化が起こる可能性があります。
また、それぞれの状態に合わせて治療がかわります。
動脈硬化があると指摘されているかたは、
知らず知らずに変化が出てくることもありますので、定期的な眼底検査を心がけましょう。