網膜静脈分枝閉塞症
網膜静脈分枝閉塞症とは、網膜の血管が詰まってしまう病気です。
この病気におけるイメージを考えてみました。
血管をホースと考えてみてください。
健康な方の血管はきれいなホースですが、
動脈硬化が強い方のホースは野ざらしにされたようなホースになってしまっています
(ボロボロで硬くなってしまっているような状態です)。
以前、動脈硬化があると交叉現象がみられると述べました(『動脈硬化』をご参照ください)。
交叉現象は、動脈と静脈が交叉している部分で圧迫されている所見がみられることです。
圧迫部では、足で踏みつけられたような感じになっていると考えてください。
野ざらしにされたホースが踏みつけられるとどうなるでしょう?
踏みつけられた部分の近くでホースが破れてしまい、バシャッと水が飛び散ってしまいます。
動脈硬化がある血管でも同様に、血管が切れて出血してしまう可能性があります。
これが網膜静脈分枝閉塞症のイメージです。
血管が切れて出血すると、血液の中の水っぽい成分も血管から漏れ出てきます。
この水が部分的にたまってくると、浮腫(ふしゅ:むくみのこと)が起こります。
黄斑部に浮腫が起こることを黄斑浮腫といい、ものを見る中心部分が障害されるため、
真ん中が見えにくくなったり、歪んで見えたりしてしまいます。
また、血管が詰まってしまった部分では
『網膜の静脈が詰まってしまうと…』で述べたような変化が起こるため、
無灌流領域が確認されれば治療が必要となってきます。
黄斑浮腫は初期から起こりえますが、新生血管に伴う症状は、
新生血管が生えるまでの時間が必要なため、少し時間がたってから起こってきます。
そのため、網膜静脈分枝閉塞症に伴う症状は以下のようになります。
・片目でみるとなんとなく見えにくい部分がでてくる
(出血が起こった部分に一致して暗い感じに見えます)
・中心がぼやけやすい、歪んで見える(黄斑浮腫に伴う症状)
・全体的にぼやける、かすむ(新生血管からの出血などに伴う症状)
こういった症状が急に出てきた方は、網膜静脈分枝閉塞症の可能性があります。
その場合、状況によっては早期治療が必要ですので、まず治療が必要な状態かどうか、
判断のための眼科受診をおすすめいたします。