緑内障と黄斑上膜
緑内障は眼圧などにより視神経にダメージが生じる病気、
黄斑上膜は年齢的な変化により、ものを見る中心部分に膜が張る病気です。
このふたつ、あまり関係はないように思われますが、
診察していると合併していることが多い印象です。
これらの病気について、茨城県でおこなわれた眼科検診をもとに
調査した論文があるので紹介します(Sci Rep. 2020. )。
検診は眼底写真を撮り、それを眼科医の目で評価する方法をとっています。
しっかり眼底写真が撮れた40歳以上の1755名について調べたところ、
左右のどちらかの目に黄斑上膜があった症例は約12.9%だったとのことです。
これは年齢とともに有病率は上昇していたとのことで、
黄斑上膜が年齢的な変化であることがわかります。
また、網膜神経線維の障害(=緑内障のことと考えてください)があると、
黄斑上膜の有病率は2.48倍にまで増えたとのことです。
ただ、緑内障の前段階とも考えられる、視神経乳頭陥凹の拡大のみであれば、
黄斑上膜の有病率はあまり変わらなかったとのことです。
これらの結果から、緑内障と黄斑上膜は何らかの関連があると考えられます。
ただ、どのように関連するのかはまだ検討がなされていないようです。
その関連が明らかになれば両方の治療につながったりするかもしれませんね。