緑内障点眼について

緑内障治療の第一選択としては点眼による治療が選択されることが多いです。

現在保険治療として使用できる緑内障治療薬はかなりの数に及びます。

先発品のみでも40種類以上の点眼があり、それぞれにジェネリック医薬品があったりします。

プロスタノイド受容体関連薬、交感神経β受容体遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、

交感神経α2受容体作動薬、Rhoキナーゼ阻害薬、副交感神経作動薬、交感神経α1受容体遮断薬、

イオンチャネル開口薬などがあり、

それに加えてそれぞれの組み合わせの配合薬があるため、

こんなに多くの種類の点眼があることになりました。

この中でも最近よく使われる点眼について、すこし述べてまいります。

 

①プロスタノイド受容体関連薬

各種点眼の中でもっとも眼圧を下げる作用が強いです。

緑内障診療ガイドラインでは第一選択とされています。

点眼回数も1回で済み、全身への副作用が少ないため、利用しやすい点眼です。

しかし、目の副作用として色素沈着やまつげが伸びやすくなったりします。

そういった副作用を減らすため、当院ではお風呂に入る前に点眼していただき、

お風呂で顔を洗う時に目の周りも洗うように指導させていただいております。

また、2018年に発売となったEP2受容体作動薬は色素沈着が少ないとされます。

白内障手術後のかたには使用できないという制限がありますが、

副作用を気にされる方には使いやすい薬ではないかと思います。

 

②交感神経β受容体遮断薬

プロスタノイド受容体関連薬に次いで、眼圧を下げる効果が強く、

2番手で使われることが多いです。

目に関しての副作用は少ないのですが、全身への影響が出る可能性がある薬です。

ぜんそくのある方、心臓の弱い方などには注意が必要です。

 

③炭酸脱水酵素阻害薬

上記の点眼よりは眼圧を下げる作用は弱いですが、古くから使用されている薬のひとつです。

全身への副作用は少ないのですが、

点眼したあと刺激感があったり、かすみやすくなったりします。

 

④交感神経α2受容体作動薬

①や②より眼圧を下げる作用は弱いです。

まれにめまいや眠気を訴えられる方がいらっしゃいますが、副作用は少ないです。

目に関しても副作用は少なく、アレルギーのある方がおられる程度です。

1日2回の点眼です。

2012年の販売開始からどんどん使用の頻度が増えている薬です。

 

⑤Rhoキナーゼ阻害薬

④と同じくらいの眼圧を下げる作用があります。

1日2回の点眼です。

全身への副作用はあまりありませんが、

血管を拡張する作用があり、点眼したあと充血がみられます。

およそ2時間程度で自然におさまりますが、点眼するたびに起こります。

他の点眼と併用しやすいので比較的よく使用される薬です。

 

主なものは上記ですが、これらの点眼の組み合わせである配合剤がたくさん出てきています。

配合剤は一つで二つの点眼の作用がありますので、点眼の回数も減り、便利な点眼です。

緑内障は継続しての治療が必要な病気です。

状況により必要な点眼は変わりますが、長く継続できるよう、

主治医とよくご相談くださいね。