糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症』で述べたように、糖尿病網膜症には3つのステージがあり、

さらに糖尿病黄斑浮腫、血管新生緑内障というさまざまな変化が起こってきます。

それぞれ治療方法が違っています。今回はそのおはなしです。

 

まず単純糖尿病網膜症ですが、この状態であれば基本的には経過観察いたします。

単純糖尿病網膜症の状態であれば、

血糖コントロールが良好な状態を維持できれば改善する可能性があり、

内科的な治療が最優先となります。

眼科としては進行がないか、経過をみていきます。

軟性白斑といって、綿のような所見が網膜にみられるようになると、

前増殖糖尿病網膜症に進行した可能性を考え、まず検査をおこないます。

以前は蛍光眼底造影検査といって、

特殊な造影剤を点滴しながら写真を撮ることで無灌流領域を評価していました。

最近ではOCTアンギオグラフィーという、

点滴せずに無灌流領域を短時間で評価する機械を用いることもあります。

いずれかの方法で無灌流領域があるかどうか、評価をおこないます。

無灌流領域があれば、新生血管が生えてこないように光凝固(レーザー治療)をおこないます。

増殖糖尿病網膜症の状態になってしまうと、

増殖膜から網膜剥離などを引き起こしてくる可能性があり、手術が必要となります。

糖尿病黄斑浮腫の状態に対しては、

最近では抗VEGF薬の硝子体注射が一般的な治療となっています。

状況によってはステロイドの注射や光凝固を用いることもあります。

注射などをおこなっても再発することが多く、定期的な注射が必要となる場合もあります。

血管新生緑内障については、新生血管の縮小を図るために、

抗VEGF薬の硝子体注射や光凝固をおこないます。

即効性があるのは抗VEGF薬のほうですので、

まず注射、その後光凝固をおこなうことが多いです。

場合によっては緑内障手術も含めた手術加療が必要なこともあります。

 

糖尿病網膜症については治療のバリュエーションが増え、

失明してしまう症例も減ってきています。

しかし、適切な治療ができないと視力の維持が難しいことも多いため、

しっかりと治療していくことが重要となります。