VEGF

網膜の血管が詰まると、新生血管が生えたり、増殖膜が生じたり、むくみが出てきたりします。

実は、これに関係する因子としてVEGFというものがあります。

VEGFは血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)の略で、

体の中にあるサイトカインのひとつです。

サイトカインとは、細胞どうしでの情報交換をおこなうためのタンパク質です。

主な情報として、

・新生血管促進…血管を作らせるはたらき

・血管透過性亢進…血管から水が漏れやすいようにするはたらき

・炎症の惹起…炎症を引き起こすはたらき

などがあります。

網膜の血管が詰まってしまうと、

無灌流領域ができて新生血管が生えてくるというお話を以前させていただきました

(網膜の血管が詰まってしまうと…)。

実は、無灌流領域ができるとその部分からVEGFが出てくるため、

その作用によって新生血管が生えてきてしまうのです。

そのため、新生血管を抑えたり、血管からの水漏れによるむくみを抑えたりするために、

抗VEGF薬という薬を投与することがあります。

VEGFというサイトカインそのものを抑えることで、病気を治療しようという薬です。

この薬が眼科で使用できるようになって、眼科の治療は劇的に進歩しました。

いままで治療できなかった病気に対して治療が可能となり、しかもまあまあ良く効きます。

欠点としては高額であること、注射が何回にも及ぶことが多いこと、などがあります。

いまは直接目に注射をする方法しかありませんが、

内服や点眼で同じような効果が出るようになれば治療もしやすくなり、

一段と眼科治療が進んでいくのではないでしょうか?