ステロイド緑内障って?

みなさんはステロイドという薬をご存じでしょうか?

ステロイドはさまざまな領域で使用される、比較的利用頻度の高い薬です。

炎症を抑える作用が強く、一般的には抗炎症薬としてよく使用されます。

眼科でも使用されることの多い薬です。

このステロイドですが、目には白内障および緑内障の副作用を起こすことが知られています。

・ステロイドによる白内障(ステロイド白内障)

 白内障とは、水晶体が濁ってくる状態です(くわしくは白内障についをご参照ください)が、

ステロイドによるものでは水晶体の後ろのほうが濁ってきます(後嚢下白内障)。

 このタイプの濁りでは、すりガラス越しに見ているようなかすみを自覚される方が多く、

視力の低下を起こす場合が多いです。

 見え方に不自由を感じるようになれば白内障手術が必要になります。

 手術は通常の白内障手術と同様です。

・ステロイドによる緑内障(ステロイド緑内障)

 ステロイドを使用すると眼圧が上がるかたが3割ほどいらっしゃいます。

 基本的にはステロイドの使用を中止すると眼圧はもとにもどります。

しかし、長期に使用していると眼圧の影響から緑内障になる可能性があります。

 現在はまだ、なぜステロイドで眼圧が上がるかはわかっていない部分が多いです。

しかし、房水の排水口である線維柱帯から房水が外に流れにくくなり、

眼内の房水の量が増えるために眼圧が上がるのではないかとされています。

 そのため、線維柱帯に作用する治療が有効で、

そこに作用する点眼やSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)による治療がおこなわれます。

 

実はステロイドの副作用は点眼だけでなく、内服や軟膏でも起こる可能性があります。

また、軟膏は顔のみならず頭皮や身体へ塗っているだけでも

目の副作用を起こす可能性があります。

ステロイドには強さでランク分けされていますので、

弱いものであればとくに問題ないことが多いです。

しかし、比較的強めのステロイドを長期に使用する際には

眼科でのチェックを受けたほうがよいでしょう。