後部硝子体剥離

後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)という言葉をお聞きになったことは

あるでしょうか?

目にとっては誰にでも起こる可能性のある、正常な変化のひとつです。

この変化を知っていると、網膜の病気への理解もわかりやすくなります。

内容的には眼科スタッフ向きかもしれませんが、少しお付き合いいただければと思います。

なお、今回の内容についてはイメージでご理解いただければいいと思いますので、

実際の目の中で起こっている詳細とは異なる部分もあります。

 

後部硝子体剥離は、難しい単語ですが、漢字で示したとおりで、

『後ろのほう(後部)の硝子体が剥離(網膜からはがれる)する』 

ことをいいます。

…よくわかりませんね。

図でみてまいりましょう。

左の図では、青の濃い部分が硝子体です。

硝子体とは、透明なゼリーのような物質で

できています。

(成分としては99%は水分でできており、

残りの1%がヒアルロン酸やコラーゲンといった、

とろみのある成分でできています)

若いころは硝子体がしっかりしていて、

眼球全体を満たしているような状態になっています。

 

この硝子体、年齢とともに内部の密度に

変化がでてきます。

(部分的に水っぽいような部分が

できてくるようになります)

 

さらに進行してくると、

水っぽい部分が集まりだすようになってきます。

こうなると硝子体の内部で密度の差が

強くなってきます。

これに伴い自覚症状として

飛蚊症(ひぶんしょう)を感じる方も増えてきます。

 

さらに進行すると、

水っぽくなったところを埋めようとして

周りのほうから(特に後ろのほうから)、

濃い硝子体が中心に集まろうとしてきます。

 

きれいにその変化が起こると、

後ろのほうの硝子体が網膜から

離れることになります。

これを後部硝子体剥離といいます。

 

後部硝子体剝離は50歳~60歳代に起こりやすい変化とされていますが、

近視の強い方などではもっと早い年齢で起こることもあります。

基本的には正常な変化ですので、後部硝子体剝離が起こること自体は病気ではありません。

しかし、この変化の際に問題が起これば網膜の病気を引き起こしてくる可能性があります。

これによって起こる病気についてはまた後日、述べさせていただきます。