老視(老眼)の治療

先日は老視(老眼)の原因についてみてまいりました(老視(老眼)について)。

では、治療はどのようにすればよいでしょう?

 

1.老眼鏡

老眼鏡をかけると手元が見やすくなる、

というのは実感されるかたも

多いかもしれません。

眼鏡によって調節力を改善させる方法です。

手元用の眼鏡の場合、遠くを見るときには

眼鏡をはずして見る必要があります。

多少のわずらわしさはあるかもしれませんが、

眼の負担は少なくて済む、有効な方法です。

遠近両用の眼鏡はわずらわしさは

減少しますが、

見える範囲が狭くなることに注意が必要です。

 

2.手術による治療

白内障のある方は、白内障手術の際に

多焦点眼内レンズ(遠近両用のレンズ)を

使用することで老視(老眼)を改善することが

できます。

ただ、現在は手術にかかる費用が

通常の保険診療では

まかなうことができません

(選定療養といい、

手術代は通常の保険診療内であるものの、

レンズ代のみ別途かかります)。

通常の保険診療の範囲内のレンズでも

最近はある程度老視改善が得られるような

ものもでています。

 

手術ご希望の際は主治医にご相談ください。

また、レンズの特性上光がにじんだりしやすく、

夜間運転するような方には不向きとされています。

白内障がない方には、角膜インレーというものを埋め込む手術もあります。

角膜インレーは、目の表面にある角膜という部分に小さい輪っかを埋め込み、

ピンホール効果を用いて老視(老眼)の改善を図ります。 

 

以上は治療になります。ここからは自身でできる老眼対策について述べてまいります。

これも老眼(老視)についてで述べた、2つの原因に即してお話してまいります。

まずは水晶体の変化について。

水晶体は加齢により変化していくため、予防することはなかなかできません。

しかし、硬くなるのを遅くする作用のある点眼やサプリメントがあります。

点眼に関しては白内障予防の点眼(これは眼科での処方が必要です)により、

水晶体の硬くなる速度を遅くし、老眼の治療にもつなげます。

サプリメントに関しては、ルテインやヒシ果皮ポリフェノールなどの成分により、

水晶体の加齢による変化を予防するものが販売されています。

つづいては筋力の問題について。

筋力が原因のものであれば筋力を強くするのが対策になってきます。

眼に関しても、他の体の筋肉と同様、筋トレで強くすることができます。

基本的には遠くと近くのどちらも、を見るようにすると覚えておいてください。

手元10cm~15cmくらいを1秒、遠く(5mくらい)を1秒、の繰り返しを10回行います。

これを1日3回行うことで筋力の維持につながったり、筋肉のコリをほぐしたりできます。

秒数や距離などは自身で調整していただいて構いません。

この方法はスマホ老眼の方にも有効な方法です。

ただし、をぐるぐる回したり、左右に早く動かしたりはしてはいけません

網膜に弱いところがある方では網膜裂孔などを起こす可能性があるためです。

また、眼を温めるのも効果的です。

肩こりなどをほぐすように、眼の上に温かいタオルなどを乗せてしばらくすると

眼の筋肉もほぐれやすくなります。

温罨法(おんあんぽう)という方法ですが、それについてはまた後日お話しできればと思います。