血圧と眼圧

緑内障の患者さんは眼圧の管理が必要となります。

経過観察中に眼圧が上がってきたとき、

『最近血圧が高いからかな…』とおっしゃる患者さんも

比較的いらっしゃいますが、

実際はどのような関連があるのでしょうか?

今回は、血圧と眼圧の関連についてみてまいります。

 

眼への血流は自動調節能といって、ある程度一定になるように調節されています。

そのため、同じ人においては一時的に血圧が上昇したからといって、

眼圧が上昇するというわけではありません。

しかし、最近の研究では、

普通の血圧の患者さん(非高血圧群) と高血圧患者さん(高血圧群)で眼圧を比較してみると、

非高血圧群の眼圧は平均13.7mmHgであったのに対し、高血圧群は平均14.4mmHgと、

有意に高かったという報告があります(Sci Rep.2022.)。

また、血圧が高いほど、眼圧も高いという結果になっていたと示されています。

ただ、なぜ血圧が高いと眼圧があがるのか、詳細はわかっていません。

 

さらに、今までの報告では低血圧は緑内障のリスクとなることが知られています。

今回の報告では高血圧も眼圧が上昇するため、緑内障のリスクとなると考えられます。

高血圧は動脈硬化により、眼底出血などのリスクもありますので、

高血圧の方はさまざまな点で眼科の定期検査を受けたほうがよいでしょう。

 

まとめてみると、

同じ人のなかでは血圧と眼圧は関連しない(一時的な血圧上昇くらいでは眼圧は上昇しない)が、

高血圧が持続するようになれば以前よりは眼圧は上昇している可能性がある。

違う人同士で比較すると、血圧が高いほうが眼圧が高いため緑内障のリスクが高い。

ということになります。

ちょっとややこしい話ではありましたが、高血圧はいろいろなリスクになると考えればいいでしょう。