ストレスによる目の変化

現代社会はストレス社会といわれます。

実はストレスによって起こる目の病気があるのを

ご存じでしょうか?

 

病名は中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)

といいます。

以前には中心性網膜炎といわれていました。

この病気は目の中心である黄斑部に水が溜まってしまう病気で、

中心が見えにくくなったり歪んで見えたりします。

画像で見てみましょう。

左の眼底写真で、

矢印で囲まれた部分に

水が溜まっています。

 

ちょっとわかりにくいのでOCTといわれる機械で断面図を見てみます。

左は正常の黄斑部です。

中心に凹みがあるのが

わかります。

 

中心性漿液性脈絡網膜症の

患者さんです。

中心の凹みも小さくなり、

その下に黒く抜けている部分が

みられます。

この部分に水が溜まっています。

 

以前の論文で、この中心性漿液性脈絡網膜症という病気の患者さんの

約91%の方で視力が落ちる前に精神的ストレスがあったと報告されており

(Gelber GS, et al. Am J Psychiatry. 1987.)、

ストレスと関連する目の病気として知られています。

なぜストレスで水が溜まるのかはあまりよくわかっていません。

 

一般的にはストレスでの体調不良には、以下のような理由が考えられています。

神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、合わせて自律神経といいます。

交感神経は体を働かせる指令をだし、副交感神経は体を休める指令をだす神経です。

これらの二つの指令がバランスを取り合っているのですが、

ストレスが加わると直接交感神経を刺激するようになります。

交感神経が刺激されると体は働かされるため、

心拍数は上昇、血圧も上昇、瞳孔は開き、腸の動きは抑えられます。

こういったことが続くと体の負担はより大きくなります

(ずっと運動していることを想像してください)。

そのため、ストレスで体調不良を起こす方が多いのです。

 

中心性漿液性脈絡網膜症は1~3か月程度で自然に治る方も多い病気です。

ただ、何度も繰り返して慢性の病気になるとなかなか治療しても

視力が改善しない場合もあります。

働き盛りの年齢の男性に多い病気で、

自然に治るため眼科受診しておられないかたも多いようですが、

見え方に異常が出るようであれば早めの眼科受診を心がけましょう。