網膜裂孔、網膜剥離

前回、後部硝子体剥離について述べてまいりました(後部硝子体剝離)。

実は、網膜の病気についてで述べさせていただいた2通りのパターンのうちのひとつ、

『物理的な変化によるもの』の原因が後部硝子体剥離です。

その代表のひとつ、網膜剥離について見てまいりましょう。

 

網膜剥離という病気は、前段階として『網膜裂孔』を生じてきます。

網膜裂孔とは、その名前のとおりで網膜に裂孔(裂け目)ができることをいいます。

この裂け目ができるきっかけとして、後部硝子体剝離が関連しています。

後部硝子体剥離が完成するとき、後ろのほうから硝子体が網膜から外れていくと述べました。

ひとによっては網膜に弱い部分があったり、

硝子体と網膜の癒着(くっつき)が強かったり

する場合があります。

硝子体が網膜から外れる際に、

弱いところを引っ張ったら

その部分に穴が開いてしまう可能性があります。

また、硝子体は外れようとする力がわりと強いため、

くっつきが強い部分では網膜ごと引っ張ってしまい、

穴をあけてしまう可能性があります。

こういったことがきっかけで

網膜裂孔ができてしまいます。

 

網膜裂孔は小さい網膜にできた小さい穴です。

小さい穴があると、水を吸い上げる現象(毛細管現象)が起こってしまいます。

後部硝子体剥離が起こっている、

もしくは起ころうとしている状態では

硝子体の密度がまばらになり、

水っぽい部分が多くなっています。

網膜はその後ろの脈絡膜という膜と

くっついていますが、

その水っぽい成分が

網膜裂孔から網膜の裏に回り込んでしまうことで、

水の力で網膜が脈絡膜からはがされてしまいます。

この状態が網膜剥離と呼ばれる状態です。

網膜剥離になってしまうと

手術による治療が必要となります。

 

網膜裂孔が起こった時に飛蚊症の悪化の自覚症状が出る場合が多いため、

そういった症状が急に出てくるようなら眼底検査を受け、

網膜裂孔などがないか確認してもらうようにしてくださいね。